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人を知る 〜座談会〜

Interview

座談会

Discussion

忘年会出席率85%の秘密。「救急の砦」にフラットで温かい空気が流れる理由

1976年、西日本初の脳神経外科専門病院として開業した熊本脳神経外科病院(通称:くまのう)。24時間365日、断らない救急体制を守り抜く「医療の砦救急の砦」である一方、その中では驚くほどフラットで温かい空気が流れています。

創立50周年を機に、院長と職種もキャリアもバラバラなメンバーに「くまのうのリアル」を語り合ってもらいました。

Member
  • 冬田院長

    3代目院長。365日の救急を掲げつつ、職員が楽しく働ける環境を何より大切にする。大の野球好き。

  • Oさん(事務統括部長)

    元・理学療法士。現場の苦労を知るからこそ、スタッフに寄り添いながら経営を支える。

  • Uさん(理学療法士)

    勤続9年。男性として育児休暇を2回取得。周囲のバックアップに支えられたパパさんスタッフ。

  • Fさん(看護師・パート)

    勤続17年。独身から育児期までを「くまのう」で過ごす。受けた恩を後輩に返す心優しいママさん看護師。

  • Iさん(看護師)

    勤続4年。中途入職。「脳外科は厳しい」という先入観が、入職後のアットホームさによっていい意味で覆された。

  • Aさん(管理栄養士)

    勤続7年。こだわりの出汁でおいしいと評判の病院食を管理。病院公式キャラ「くうちゃん」の作者。

  • Mさん(医療事務)

    新卒入職1年目。実習時の雰囲気の良さに惹かれて入職。

  • Wさん(放射線技師)

    勤続10年目。広報委員会のリーダー的存在。大学卒業後新卒で入職し、居心地の良さに気づけば10年。

  • Discussion
    01

    院長との距離は「近すぎる」?野球トークが繋ぐ信頼

    「脳神経外科」というと、命に関わる緊迫した現場で、上下関係も厳しそうなイメージがありますが、実際はどうですか?

    Mさん:私は新卒で入ったばかりですが、実習に来た時から「なんて優しい人が多い病院なんだろう」と感じていました。入職してからもその印象は変わらなくて。何より驚いたのは、冬田院長が廊下を歩きながら「昨日の野球の結果見た?」とか、普通に話しかけてくれることなんです。

    冬田院長:ははは、野球の話はついついね。私自身、役職の壁なんて作りたくないんです。100名規模の病院だから、全員の顔と名前が一致する。だから「看護師さん」ではなく「〇〇さん」と名前で呼び合う。その距離感こそが「チーム医療」の土台だと思っています。

    Iさん:私も、脳外科はピリピリしているイメージがありましたが、いざ入ってみると先輩も先生もすごく相談しやすい。いい意味でのギャップがありました。

  • Discussion
    02

    座談会中にルール変更!スタッフの直談判と院長の即決

    突然ですが、もし今、院長に「一つだけ病院の何かをすぐに変えていい権利」をもらったら、何を要望しますか?

    Uさん:えっ、今ですか!? ……うーん、じゃあ思い切って。リハビリの物品購入のフローを変えてほしいです。今は許可を取って、数が少ないから制限して……というようなルールがあって。患者さんのために必要なものがすぐに揃えられないもどかしさがあるんです。

    冬田院長:えっ、物品を制限してるの? ……僕、そんなに最初から偉そうにしてたかなあ(笑)。ごめんね。そんな不便な制限があったなんて知らなかった。

    Oさん:いえ、院長がというよりは、運用上の慣習として残っていた部分ですね。

    冬田院長:よし、わかった。Uさん、その制限、今日でやめよう! 遠慮なくどんどん上げて。明日から必要なものはすぐ買えるように手配します。

    Uさん:えっ! 本当ですか!? ありがとうございます!

    一同:(驚きと笑い、そして拍手)

    Wさん:こういう「即断即決」がうちの強みですよね。僕らがやっている広報委員会でも、部署をまたいで提案を出すと、良いものはすぐに「やってみよう」となる。このスピード感があるからこそ、現場も「もっと良くしよう」と前向きになれるんです。

  • Discussion
    03

    妊娠中の「椅子に座らされた記憶」。受けた優しさを次世代へ

    働きやすさの面では、男性のUさんが育休を2回取得されたと伺いました。専門職の男性が育休を取ることに、不安はなかったですか?

    Uさん:正直、最初はありました。当院は24時間救急を回していますし、リハビリの現場も常に動いています。「自分が抜けて現場は大丈夫か」という不安、それに「男性が長期で休むのはどう思われるだろう」という気持ちはゼロではありませんでした。

    それをどう乗り越えたのでしょう

    Uさん:冬田院長が朝礼で、常々「家族を大切にしなさい」とおっしゃっているのを聞いていたのが大きかったです。「だったら、自分が先陣を切ってモデルケースになろう」と。勇気を出して相談したら、二つ返事で背中を押してくれました。

    Wさん:Uさんが先陣を切ってくれたのは大きかったです。技師の私から見ても、今は「家族を大切にする」という文化が病院全体に根付いていると感じます。

    冬田院長:Uさんのような中堅の活躍しているスタッフが育休を取ってくれるのは、病院にとっても素晴らしいことですからね。

    Uさん:私はこれまでに2回、育休をいただいたのですが、一番感動したのは「復帰した時」です。休み中、スタッフが「元気でやってる?」とちょこちょこ連絡をくれたり、戻った時にみんなが「おかえり!」「大変だったね、お疲れ様」と笑顔で迎えてくれて。妻も「本当にいい職場だね」と驚いていました。この「おかえり」があるからこそ、また現場で恩返ししようと思えるんです。

    Fさん:Uさんのようなパパさんが頑張っているのを見ると、私たちも応援したくなりますよね。私は勤続17年になりますが、私もこの「温かさ」に何度も救われてきました。

    Fさんの場合は、どのようなサポートがありましたか?

    Fさん:妊娠中に体調を崩した時、先輩たちが「いいから座ってなさい! 重いものは私たちが持つから」って、無理やり椅子に座らされたのを今でも覚えています(笑)。子どもが熱を出した時も「仕事は気にしなくていいから。早く行ってあげて」と送り出してくれました。だから今は、若い子が申し訳なさそうにしていると「大丈夫! 私もそうしてもらったんだから、お互い様」と全力で声をかけるようにしています。

    冬田院長:Uさんのような先駆者が道を切り拓き、Fさんのようなベテランがその恩を次へ繋ぐ。制度だけでなく、この「循環」があることが、スタッフにとっての安心感(マグネット)になっているんだと感じます。

  • Discussion
    04

    栄養士が描いた「くうちゃん」が公式キャラに。個性が輝く瞬間

    仕事の枠を超えた「個人の才能」を活かしているエピソードも教えてください。

    Aさん:私は管理栄養士なのですが、趣味で描いていたイラストが、まさか病院の公式キャラクターになるとは思いませんでした(笑)。

    冬田院長:脳をモチーフにした「くうちゃん」ですね。一目見て「これだ!」と思いました。脳外科の「怖い・硬い」というイメージを和らげたいという彼女の想いが形になった。今では私の講演資料にも欠かせない「顔」です。

    Wさん:Aさんだけじゃなく、広報委員会には各部署から「実は動画編集が得意」「デザインができる」といったメンバーが自然と集まっています。

    Aさん:自分の好きなことが認められ、仕事に活かされているのは本当に嬉しいです。本業でも、特に「出汁(だし)」には徹底的にこだわっています。患者さんから「家でも作りたいからメニューを教えて」と事務局に問い合わせが来るほどなんですよ。

    Oさん:他にも、ITが得意なスタッフがオンライン勉強会の仕組みを作ったり、動画編集が得意な人がPR動画を作ったり。誰が何が得意かみんな知っていて、「あれは〇〇さんに聞けばいいよ」って自然になる。専門職としてのスキルに「個人の得意」を掛け合わせることを、みんなが面白がって応援してくれるんです。

  • Discussion
    05

    365日救急を支える団結力。次の50年も選ばれる病院へ

    最後に、次の50年に向けて、どのような方と一緒に働きたいですか?

    冬田院長:私たちのミッションは「365日、断らない救急」を果たすことです。命の現場ですから、当然厳しさもあります。でも、だからこそスタッフには、ここで働く時間を楽しんでほしい。忘年会の出席率が85%を超え、100名中85人が集まるようなこの団結力を、私は誇りに思っています。

    これからもスタッフが健康で、お互いを尊重し合えるチームでありたい。

    患者さんからも、そして働く職員からも「困ったらここに行きたい」と思われる「マグネット」のような病院を、一緒に作っていきましょう。